緊急集会に参加して

丁度一ヶ月前、大阪まで足を延ばし、緊急集会『アベ政権に幕引きを‼「モリ・カケ問題」の責任を徹底追及‼」に参加した。それまで政治的な集まりに自ら好んで参加したことはなかったが、衆院選の結果を受け、なにかせずにはいられなかったのだ。同じような気持ちの人も多かったようで、待ち時間中、あちこちから選挙結果について色々な意見が聞こえてきた。

トークは熱く、真剣だったが、笑いもたくさんあった。発言者は、元文部官僚・寺脇研氏、「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表・黒川敦彦氏、木村真・豊中市議、大川一夫弁護士。司会は、新聞「うずみ火」代表・矢野宏氏。みなさん、素で話しているのに面白い。全くの余談だが、寺脇氏が萩生田を「おぎうだ、おぎうだ」と連呼していた場面は今も時々思い出して癒されている。

集会は予定されていた2時間を過ぎても誰も飽きた様子はなかった。締めに矢野氏が「みなさん、元気出ましたかー?」と問いかけると、大きな拍手が湧きあがった。私もすっかり元気になっていた。後日発表の参加者数は、約300名とのこと。

集会の熱気に勇気づけられた私は、2日後、構造改革特区での取扱いについて重点を絞った記事をアップした。が、顕著なアクセスアップには繋がらず、ややがっかりモードに。それでも、当事者の言及がなければ証拠をいくら積んでも説得力に欠けるのはどうしようもない、ならば、と気を取り直し、あちこち検索した。そして、ついに愛媛県知事の重要証言と藤原審議官の答弁に辿りついた。周辺情報の検証や前後の状況の把握に少々時間がかかったが、11月12日の記事自体は一気にまとめることができた。そして、この記事は、どう拡散していただいたのか私には未だ謎なのだが、それまでとは桁違いのアクセスをいただいた(とはいえ、官邸が心配するほどの数ではないことは断っておく)。

設置認可は下りてしまったが、加計問題への関心は消えていないということだろう。国会では、会計検査院の報告を受け、森友問題の追及が再燃している。加計問題の追及もいずれ再開されるはずだ。そのときこそ、窓口一体化後に出された愛媛県・今治市の提案が当初構造改革特区で取扱われていたこと、それが途中で国家戦略特区に切り替えられる特別待遇があったこと、両特区での検討結果に矛盾があること等々、新しい切り口で追及してもらいたい。愛媛県知事と藤原審議官の証言がはっきりとあるのだから、問題は切り出しやすいはずだ。

ところで、集会後、黒川敦彦氏編著の「巨悪対市民 今治発!加計学園補助金詐欺事件の真相」という本を購入した。この本の中で、黒川氏は加計学園による建築費の水増し疑惑を告発し、疑惑の根拠として加計学園の獣医学部棟の設計図を公開している。これまでなかなか読む時間というか余力がなかったが、数日前、ようやく落ち着いて読むことができた。

この本を読むと、マスコミの不甲斐なさや都合が悪ければブログの削除まで行う圧力の存在を再認識して悲しくなるが、それでも恐れずに声を上げる人達の存在には勇気づけられる。

本のまえがきに、中村時広愛媛県知事は県議会で「県の補助金支払いは白紙」と述べた、とある。7月の閉会中審査後の発言のようだ。その後どうなったのか。日本経済新聞によると、愛媛県は11月20日発表の補正予算案で加計補助金を計上せず、同日の記者会見で中村知事は県の財政支援について「今治市からの正式な要請と、第三者委員会による精査の結果を受けて検討する」としたそうだ*1。同日の愛媛県知事記者会見録*2にこの発言の記録がないのは気になるが、県民の目が光る中で説明のつかない多額の補助金を計上することは今後も難しいのではないか。同じことは今治市にも言えよう。

集会で黒川氏は「設置認可が下りても、補助金詐欺の追及からは逃れられない」と言っていた。実際、建物が完成すれば、いずれ見積額と実費の差額も明らかになるはずだ。黒川氏の推測どおりなら、水増し分はごまかせるような額ではない。

仮に、追及をかわすために愛媛県・今治市がそれぞれ補助金の額を是正・削減したとして、公金詐欺は未遂となるのかもしれないが、今度は加計学園が資金不足で経営難に陥るだろう。資金計画は、設置審査の対象でもある。実際に交付される補助金が資金計画における予定額より大幅減となった場合、既に下りている設置認可も見直されるべきではないだろうか。今後も問題は山積みである。

さて、この本を読むうち、一つ重要な点に気づいた。それは、国家戦略特区の基本方針に明記されている「PDCAサイクルに基づく評価」はどうなるのか、ということだ。

加計学園は、基本方針のからくりによって4条件審査をスルーしている*3。しかし、特例事業として行う以上、特区の評価は避けて通れない。

評価を受ける際、最低限、先端ライフサイエンス研究に対応していなければ話にならない。しかし、黒川氏の公開した設計図どおりの建物ならば、実際にはバイオハザードを扱う実験を安全に実施することすら不可能な状況だ。計画を実行するための設備が当初から存在しない、ということになる。これでは「世界に冠たる獣医学部」など実現のしようもない。

1校だけ特例的に認められた獣医学部新設である。このまま開設できたとしても、その先には年度ごとの特区の評価というハードルが待っている。これだけ国民が注視する中、甘い評価は許されない。加計孝太郎氏は今後どのように対応していくつもりなのか。直接きいてみたいところだ。

*1:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2371332020112017LCC000/ 2017/11/21付 日本経済新聞 地域経済「愛媛県、加計補助金を12月補正案に計上せず

*2:https://www.pref.ehime.jp/governor/teirei/kaiken291120.html 愛媛県 平成29年度11月知事定例記者会見(平成29年11月20日)の要旨について 更新日:2017年11月21日

*3:医学部と獣医学部の相違点(加計が4条件をスルーできる理由) – 凪ぎ___和ぐ