加計学園・今治図書館 洋書全1453件の価格調査結果


※納入業者である丸善の価格ではなく、Amazon価格を調査したことについてコメントをいただきました。本文の後、コメントおよび返信もご一読ください。

 

岡山理科大学図書館業務報告によると、2017年度の創設事業費からは洋書1508冊が35,330,000円で購入されている。これは獣医学部棟付属の図書館創設に伴って購入されたものと考えられる。平均単価は1冊23,428円となり、2016年度(12,142円/冊)および2015年度(12,152円/冊)のほぼ倍である。

 

何がそれほど高くついたのか。それを調べるため価格調査を実施した。

 

本年9月7日現在、今治図書館にある洋書は1453件である。新着分の絞り込み検索によると、2017年4月1日以降の新着分は1429件であり、少なくとも24件は岡山から持ち込んだ分だと推察される。また、最近の新着分には1950~1970年代の古い本が多くあり、これらの多くは寄贈されたものだと思われる。とはいえ、2017年度の購入分を特定することはできないため、全1453件を調査対象とした。

 

調査方法は、以下のとおりである。

岡山理科大学図書館の「詳細検索」で下記の条件で検索した。

資料の種類:図書

和洋区分:洋

所在:今治図書館

一覧表示方法:出版年順 50件ずつ

岡山理科大学今治図書館洋書検索結果リスト(18年9月7日時点)PDF(22MB)

※ファイルのダウンロードはご自由にどうぞ。

 

表示された1453件について、表示順に1件ごと「検索結果詳細」画面にあるAmazon(日本)のリンクから価格を調べた。リンク先に価格情報がなかった場合は、楽天ブックス等、他の通販サイトで価格を調べた。日本の通販サイトで情報が得られなかった場合は、Amazon(米)もしくは出版社のサイトで得た価格を為替レートに基づき円に換算した。為替レートは、1ドル120円、1ポンド160円と設定した。寄贈分とみられる古い本については、価格情報が見つからなかった場合、新版の価格や古本の価格を採用した。

 

岡山理科大学今治図書館洋書全件価格調査表(18年7月~9月調査)Excel (86KB)

※ファイルのダウンロードはご自由にどうぞ。

 

Excelのデータシートで濃いオレンジの背景色がかかっている書籍は、2017年4月1日時点の新着分に含まれないもの(おそらく岡山から持ち込まれたもの)である。また、濃いグリーンの背景色がかかっている書籍は最新の新着分である。

 

なお、検索結果の詳細情報には、百科事典等、複数巻あるはずの書籍がことごとく何故か1巻分しかリストされていない。このような書籍は、Excelで薄オレンジの背景色となっている。例えば、No. 700は辞書だが、所蔵は第1巻(A~D)のみとなっている。辞書こそAからZまで含む全巻揃っていなければ意味はないが、実際に第1巻だけが所蔵されているのか、データベースに入力されていないだけで全巻揃っているのか、はたまた今後購入予定の書籍として第1巻の情報だけが入力されていて実際には所蔵していないのか…。全く不可解な状況だが、全巻セットで購入・所蔵されているものとして価格には全巻分の金額を入力した。これらの書籍は高額なものがほとんどであり、未購入であれば計算が大きく違ってくる。したがって、所蔵の有無については改めて確認が必要だ。

 

調査の結果は以下のとおりである。

件数:1453

冊数:1565

推定購入費:18,900,000円(17,186,514円)

 

※カッコ内は生データの数字。推定購入費は、為替変動により調査時と現在の価格が異なるものもあるため、誤差を1割と高めに設定して生データの数字をプラス補正し、有効数字3桁に丸めたものとした。

 

さて、平均単価は推定約12,100円/冊と出た。図らずも、前年度、前々年度並みの数字となったが、多め多めに見積もってこの金額なのだ。

 

この調査結果に基づくと、1508冊分の購入費は約18,200,000円となり、業務報告にある購入費35,330,000円は全く説明のつかない金額だといえる。

 

報告された金額と概算結果がこれほど乖離している以上、加計学園は、2017年度の創設事業費で購入した書籍について目録と購入金額を開示し、業務報告の数字との整合性を示すべきである。

 

 

 

コメント

  1. 774san より:

    実情に乖離した想像の金額試算を根拠では説得力に欠けると思われます。

    まず、Amazonを根拠にしたことは現実的ではありません。
    Amazonで購入した場合、原則、社印の押された領収書が発行されないという問題があります。その領収書では経費として計上を認められないことがあることはご存知ですよね?
    国内で手配する場合、「モノによってはAmazonの最低価格の2倍を超えるとはいえ、紀伊国屋や丸善といった書店」に発注します。これは「他の大学」でも行われている至極普通の手続きです。

    2016年度(12,142円/冊)および2015年度(12,152円/冊)に該当する新規購入書籍の代金をAmazonで試算し、比較するのならわかります。
    しかし、この試算では条件の異なる二つの金額を比較するのは大きな誤解を招くと思われます。
    いかがお考えでしょうか?

    • sudolao より:

      まずアマゾン価格は実際に調査した価格で想像ではありません。「試算」は、為替レート等によって生じる差を加味するために行ったもので、数字を上方修正する意図です。アマゾン価格を採用した理由は、市場価格の底値はどのあたりなのかを知りたかったためです。税金が使われる以上、価格交渉があって然るべきですが、納入業者である丸善の価格を調べ、実際の支払額に近い額が出たとして、それが高いのか安いのか判断できません。「モノによってはAmazonの最低価格の2倍を超えるとはいえ」とおっしゃるとおり、モノによって価格に大きな差があるのは理解できますが、全部の合計がほぼ2倍というのは理解を超えます。そのため、ここまでの差額がどうして生じたのか説明が必要だと思い、記事にまとめました。最初から記事にしようと思って小さい数字が出そうなAmazon価格を採用したわけではありません。

      実際の丸善の価格で全件の価格を調査した方がいますが、それでも書籍代の合計と図書購入費との差が1千万ほどあります。

      数字の捉え方については、Twitterでコメントしましたので、そちらをご確認いただければ幸いです。https://twitter.com/sudo_lao/status/1049851017003560960
      丸善価格を調べたKinoさんのツイートへのリンクもスレッドに含まれています。

  2. […] 業務報告の数字との整合性を示すべきである。 https://sudolao.com/kake-gakuen-vet-med-library-total-price-of-foreign-books/ 114:あなたの1票は無駄になりました2018/10/06(土) 16:07:29 ID:D73KpWXo0 >>1 […]