内閣府による改竄 首相案件と竹中平蔵案件も

国家戦略特区サイトの大改造を検証する中で見つかった数々の内閣府による改竄。こちらは前回シリーズのようにマニアックではなく、メジャーな改竄。

「各府省庁からの回答」における改竄を紹介する。

以下、「改竄前」とあるのは当初公表されたPDFファイルで、WARP(国立国会図書館インターネット資料収集保存事業)のアーカイブからダウンロードできる。「改竄後」とあるのは現在公表されているPDFファイル。

「提案募集」ページの「➣各府省庁からの回答」

2015年秋提案分(集中受付期間:平成27年10月6日~10月30日分)の回答における改竄

I. 文部科学省からの回答

改竄前(2016/6/10版):全5ページ・7項目・8提案

改竄後(2016/12/20版):全3ページ・6項目・7提案

「2 教科書採択の弾力化」の1項目・1提案が削除

  • 安倍首相が嫌いそうなテーマではあるけれども、なぜ削除したのか理由はさっぱりわからない。

II. 厚生労働省からの回答

改竄前(2016/9/21版):全39ページ・62項目・84提案

改竄後(2016/12/5版):全49ページ・65項目・94提案

(1) 新規に「48.外国人滞在施設における旅館業法の特例の滞在日数要件及び設備要件の緩和」の1項目と、併せて4提案が追加

  • 民泊関連は、竹中平蔵案件
  • この項目と一緒に追加された4提案は全て(株)特区ビジネスコンサルティング絡み

 

(2) 新規に「59.技能認定制度の検定職種の追加」の1項目と、併せて愛媛県今治市の1提案が追加

  • 今治市が12月8日に出した追加提案が、10月30日が受付最終日だった秋提案に係る回答に含まれている。
  • 特区指定が実現するまでは今治市の追加提案も首相案件である。

(3) 新規に「64.株式会社立保育所における法人税免税及び施設整備補助対象化」の1項目と併せて一般社団法人新経済連盟の1提案が追加

  • 楽天社長・三木谷浩史氏が理事。多少の無理は通りそう。
  • 募集期間終了後に出された提案ではないか。

(4)「54.(改竄前53.)新たな労働時間制度の創設等」の項目に、(株)特区ビジネスコンサルティングの1提案が新たに追加

  • 農業での外国人技能実習生受入に関する提案。
  • 外国人受入事業は、竹中平蔵案件。

(5)「63.(改竄前61.)外国人の在留資格・在留期間・就労資格制限の緩和並びに入国管理局等の終了状況提起監査業務の民間委託」の項目に、医療法人明正会の3提案が新たに追加

  • 医療法人明正会は、多数の「正規」秋提案がある。
  • 募集期間終了後に追加提案が出され、その回答も秋提案の回答とともに公表された、という見方ができる。

(6) 同じく[63.(改竄前61.)」の(株)特区ビジネスコンサルティング「クールジャパンに関わる外国人材の就労解禁」提案の回答が大幅削減

  • 外国人材は、竹中平蔵案件。
  • その中でもクールジャパン関連の提案は、2015年度の関係省庁ヒアリングで何度も取り上げられているが、議事要旨はほとんどが非公表。

<まとめ>

II. 厚生労働省からの回答の新規追加分は、「調整中」や「非公表」とあったものが追って公表された分ではなく、全く新たに挿入・追加された分である。

12月8日に出された今治市の追加提案が秋提案への回答に含まれていることから考えると、残りの9提案も、秋提案の受付期間終了後に提出されたものではないか。しかも、竹中平蔵案件の(1)は、この回答が公表される前の第23回諮問会議(2016年9月9日)で既に規制緩和が決定されている。後出しの上、初期回答のとりまとめ・公表にすら間に合わないスピーディな対応だったのであれば、竹中平蔵案件の優遇があった、ということになる。

(株)特区ビジネスコンサルティングの顧問は、加計問題で徹底した擁護論を続けてきた高橋洋一氏である。(株)特区BC のサイトは、以前は公開されていたが、現在は「準備中」となっている(参照元:2017年8月11日付 Buzzap!記事)。

(株)特区BC主催の2015年秋提案関連セミナー「インバウンド観光ビッグバンと地方創生特区~政府の特区提案募集は10月6日スタート、政策ツールをいかに活用するか~」には、内閣府地方創生推進室次長・藤原豊氏、特区WG委員・原英史氏も登壇している。セミナーの協力団体は、NPO法人万年野党。アドバイザリーボードには、国家戦略特区関連の竹中平蔵氏、八田達夫氏、八代尚宏氏が名を連ね、理事には、原英史氏の名前がある。