【2015.4.2メールと愛媛県職員メモ】
内閣府から文科省に送られた2015年4月2日付メール。「柳瀬総理秘書官とも面会」という文言が注目されているが、藤原次長の「国家戦略・構造特区の共通提案に出してみては」という文言も同じくらい重要だ。これは、「国家戦略特区と構造改革特区の窓口が一体化されるから、その共通窓口に提案してはどうか」という意味である。構造改革特区は、第27次募集から国家戦略特区と共通窓口になっている(詳しくは過去記事で)。
また、「首相案件」という文言入りの愛媛県職員メモによると、4月2日、柳瀬秘書官は「国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う」と発言している。
この発言の前半部分は一体化を知らないと「どちらの窓口に提案を出すかは…」と言っているように聞こえるかもしれない。だが、正しくは「共通窓口で受け付けた提案を国家戦略特区と構造改革特区のどちらで取り扱うかは、(地方創生推進事務局で決まる)テクニカルな問題」という意味である。
内閣府と官邸のそれぞれが、加計学園、愛媛県、今治市の関係者を集め、両特区の一体化についてわざわざ直接説明していたことになる。
共通窓口での提案募集の正式発表は、報道発表も構造・27次募集の案内ページの「お知らせ」欄での告知も、提案受付開始日の4月28日である。藤原豊氏の国会答弁(2017年5月23日参・農水委)によると、四国ブロック会議では、提案受付が始まる前日の4月27日に説明が行われている。
地元での一般説明や正式発表より3週間以上も前、しかも年度頭の忙しい時期、内閣府と官邸に通され、わざわざ個別に一体化の説明を受けた、ということだ。これだけでも優遇があったことは明らかだ。
だが、それだけではない。4月2日の官邸訪問は出張前日に急きょ追加されている。となると、両特区一体化の正式決定自体がこの訪問の直前だった疑いがある。もしそうだったのであれば、大きな運用の変更点が加計学園を含む三者に真っ先に知らされた、ということになる。
この2015.4.2メールと愛媛県職員メモをめぐっては、柳瀬秘書官との面談内容だけでなく、一体化が決まった明確な日付と経緯についても追及が必要だ。
【2015.5.27メール】
2015年5月27日付メールは、内閣府から黒塗りの宛先に送信されたメールが、結果報告と確認のために愛媛県職員から今治市職員に転送されたものだ。本文冒頭が愛媛県(以下黒塗り)となっていることから、Toの黒塗りが愛媛県職員、Ccの黒塗りが加計学園関係者ということになる。(※Eigen Kino氏の指摘を受け、元の文を訂正しました。)
転送されたメールでは、黒塗りの宛先(愛媛県と加計学園)に対し、前日に連絡を受けた内閣府が「獣医学部提案に向けた構想についてのご相談」の日程候補を打診している。これは、加計学園が提案主体として動いていたこと、即ち「説明補助者」という説明が虚偽だったことを証明している。(※同上)
そして、この事前相談自体もまた不正行為だ。なぜなら、国家戦略特区と共通窓口・共通提案となった構造・27次提案の事前相談は、受付が4月27日に既に締め切られているからだ。転送メールによると、事前相談を申請する連絡が内閣府に送信されたのは前日の5月26日である。
受付終了から1ヶ月も経って事前相談を申請したにもかかわらず、即対応で日程が調整され、数日後に個別相談が設定される。しかも、忙しい藤原次長自らが1時間も対応する。優遇であるばかりでなく、明らかに不正である。
「加計学園の優遇はあった。そして、不正もあった」と断言できるだけの証拠はそろっている。
追記:
当初、「愛媛県(以下黒塗り)」をCcの宛名の一部と考えて記事を書きましたが、TwitterでEigen Kino氏から「愛媛県(以下黒塗り)」は本文の冒頭に当たるという主旨の指摘を受けました。Ccの二行目が「>」で終わっていることから、Kino氏の指摘が正しいと考え、本文を訂正しました。修正記録を残す記載も検討しましたが、読みにくくなるため、本文自体を訂正し、こちらにその旨をお知らせすることとしました。混乱等ありましたらお詫び申し上げます。
一体化に関する過去記事