人は内在する恐怖の大きさに見合った数字を求め、それを信じる。これは私自身も含めた話だが、私達はイタリアやスペインの「死者数」を何の疑いもなく信じ、日本の「死者数」には強い疑念を抱く。日本より人口の少ない国が「万だ」とパニックになっている中で、日本の「百弱」という数字は、私達が抱える恐怖の大きさには全く見合っていないのだ。
一方、イタリアやスペインの数字こそ疑うべきだという専門家もいる。
ドイツに住む医療微生物学と疫学の専門家Sucharit Bhakdi博士は、1週間で200万回以上再生された動画の中で、感染と疾患は区別すべきであり、新型コロナ陽性の遺体をそのまま新型コロナによる死者として数えることは間違いだ、と指摘する。従来の医学原則に基づけば、死の直前または死後に陽性が確認されたとしても、呼吸器疾患以外の疾患で亡くなった人を即新型コロナの死者とみなしてはいけない、非科学的に「新型コロナ関連死」を分類、定義する国際動向をドイツは踏襲してはならない、と訴える。
別の動画で博士は、緩和病棟で亡くなった78歳の末期食道がん患者が、死の数日前にコロナの検査を受け陽性が確認されたために、ドイツの新型コロナ死亡リストの52番目、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州における初のコロナ死者として記録されたことに触れ、イタリアやスペインより死者数が少ないドイツであっても、このような医学的に間違った統計が行われている実態を明かしている。
感染が確認または疑われる遺体は、全てバイオハザードとして扱われ、通常のように家族に引き渡されることなく累々と並べられていく。そしてそれを目にした私達の心の中では恐怖が際限なく膨らんでいく。
日本は明日にも非常事態宣言が出されるという。日本の死者数がどう数えられているのかはわからないが、他国と異なり正しく数えているのであれば、非常事態宣言を正当化できるような状況ではないはずだ。
感染と疾患は区別されなければいけない。日本も、この区別はできていないということなのか。